恋の魔法と甘い罠
真っ直ぐに向けられている慎也さんの瞳は少し潤んでいて。


あたしまでそれが伝染してしまったように、目の奥でスタンバっていた涙があっという間にぽろぽろと溢れてきた。


そんなあたしに手を伸ばしかけた慎也さんだけれど、慌ててそれを引っ込める。


そしてその手をぐっと握りしめながら、



「結果的に玲夢を騙して、傷付けた……ほんとに、悪かった」



そう言ってテーブルに額が付きそうなくらいに頭を下げた。


その姿を見て、慎也さんの本音を聞いて、胸の中にあったきりきりとした痛みが少しだけ和らぐ。


結婚しているのにこういう関係になったこと、それを黙って付き合っていたことを許せるわけじゃない。


けれど、慎也さんがあたしのことを『本気で愛していた』と言ってくれた。


単純だけれどただそれだけで、あたしは救われたような気持ちになってしまった。
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