恋の魔法と甘い罠
ピンクの花弁が散りばめられていて、見ているだけで癒される……そんな看板。


下の方には『カフェバー FLOWER RAIN』という文字。


カフェバーというくらいだから、きっと昼間はカフェ、夜はバーに変身するんだろう……と思う。


だから今の時間なら、きっとバーだ。


ここの人に道を訊けばいい。でもどうせなら少し飲んでいこうかなと思い、入ることにした。


正直一人でこういうお店には入ったことがないから、めちゃくちゃどきどきする。


そんな胸の鼓動を感じながら、ドアに手を添えて、そのままぐいっと押した。


と同時に、カランカラン、という音と「いらっしゃいませ」という男の人の静かな声が響いてきた。


その声の方へ視線を移すと……


カウンターの中で、誰もが見惚れるような美形の男性がやさしい笑みを浮かべながら立っている。


その姿に、どきんっと胸が高鳴る。


端正な顔立ちに、笑うと細められる切れ長の瞳。


あまりにも素敵すぎるその容姿に見惚れていると、



「一人でいいのかな？」



そう訊いてきたから、



「は、はいっ」



と少々吃(ﾄﾞﾓ)り気味の返事を返した。
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