恋の魔法と甘い罠
「玲夢は何飲む?」



真っ直ぐにカウンター席に座った和泉さんは、いまだに入口付近に立っているあたしを振り返りながらそう訊いてきた。



「カンパリオレンジをお願いします」



少し考えたあと、そう言いながら足を進めて和泉さんの隣に腰掛けた。


最初はこうやって隣に座るだけでもどきどきして挙動不審になっていたのに、今ではなんの違和感もなくすんなりと座ることができる。


といっても、どきどきはするんだけれど。


それでも隣にいることが当たり前のように思えるようになるなんて、それだけ居心地のいい場所になっているんだろうなぁ。


けれど付き合っているふりが終わってしまったから、こういうことはほとんどなくなってしまうんだ……


そう思うと少し寂しい。
< 208 / 357 >

この作品をシェア

pagetop