恋の魔法と甘い罠
そしてテーブルに頬杖をつきながら細めた瞳を向けてくる。



「何意識してんの?」


「えっ!?」



こんなにわかりやすい反応をしていたら気付かれてしまうのは当たり前で。


けれど、それをここで認めてしまったら、あたしが和泉さんのことを好きだと言ってしまうのと同じのような気がして、何も答えられなかった。


だからといって和泉さんがそれ以上突っ込んでくるわけでもなく。


ただ、じっと見られている視線を感じるから、なかなか熱の引かない頬をその視線から隠すように、俯きながらビールに手を伸ばして、



「いただきます」



小さく呟くように言ってから、それを口に運んだ。


和泉さんのようにゴクゴクという気持ちのいい飲み方はできないから、少しずつ喉に流し込む。



「おいし」



少し火照った身体にはよく冷えたビールがとても美味しく感じられる。
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