恋の魔法と甘い罠
よく考えてみれば、あのときのあたしは記憶をなくすほどに酔っていたから、もしかしたら他の人に拾われていたかもしれない。



「あたしも、和泉さんでよかったです」



今心から、そう思う。



「つーか、俺のいないところではもうあんなに飲むなよ?」


「え……あ、はい」


「わかってんの?」


「……はい、わかっています」


「ならいいけど」



そう言いながら微笑んでいる和泉さんは、とってもやさしい表情をしていて。


腕枕している手で髪をすーっと撫でてくる。


それが心地よくて、和泉さんの胸に寄り添うように顔を埋めた。


けれど、すぐに肩を掴まれて引き離される。


何で? と言うように和泉さんの顔を見上げると、やさしい瞳を向けてくれているのに、それとは対照的に口端ににやりとした笑みを浮かべている和泉さん。
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