恋の魔法と甘い罠
だけどあたしは和泉さんのその言葉で、痛いくらいに心臓がバクバクと鳴り始めた。


誰かさん……


和泉さんはそれが慎也さんだってことはちゃんとわかっている。


それがわかるから、それに対してあたしは何も答えられなくて。



「ほんとは、約束してたんだろ?」


「えっ」



突然そんなことを言われても、意味がわからなくて首を傾げる。


そしたら、和泉さんがそれに答えようと口を開いた。



「今日だよ。ほんとは会う約束をしていたんじゃねーの?」


「……っ」



『約束』なんて立派なものではないけれど、もしあのとき和泉さんが『待ち合わせ』なんて言葉を口にしなければ、今夜は慎也さんがアパートに来て二人の時間を過ごしていたと思う。


でもどうしてそれを和泉さんが知っているんだろうと、和泉さんの表情をうかがうようにちらりと視線を向けると、相変わらず頬杖を突きながらこっちを見ている和泉さんがいて。


その真っ直ぐ過ぎる瞳に、どきんっ、と胸が高鳴った。
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