恋の魔法と甘い罠
和泉さんの方へちらりと視線を向けると、予想外の答えだったのか目を見開いていて。


だけど、あたしと視線が絡んだと同時に細められたその瞳。


そして小さく息を吐いてから口を開いた。



「ほんとに覚えてねーの?」


「……はい。……すみません」



バツが悪くてぼそぼそと呟くように返す。



「すっげー積極的だったのに?」


「えっ!?」



積極的?


話したこともなかった和泉さんに対して?


そんなわけないと思うのに、あのときのことは全く覚えていないからそれ以上は何も言えなくて。


徐々に視線を落としていくあたしを見て、さらに言葉を続けた。



「まあでも、俺のことを誰かさんと勘違いしてたみたいだけどな」



苦笑しながらそう言った和泉さんは、ジョッキに残っていたビールをぐいっと一気に飲み干した。
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