キミノココロ
音楽室に響く音色
[*音色Ver.*]

♪〜

…いつも聴こえる
音夜先輩の優しい音色。


中学1年の春、
初めて音夜先輩を知った。


綺麗で、優しい
音夜先輩の音色につられ、
自然と音楽室へ向かっていた。


……だが、
その『綺麗で優しい音色』を弾く音夜先輩の姿は…


髪は赤く染まっていて、
耳には数えきれないほどのピアスと、
制服は見事に着崩している
如何にも“不良"という感じの男が立っていた。


こんな怖い人が
あんな優しい音色を弾けるわけがない。


私はそう思い、
後から友達に聞くと、

「見た目は悪いけど、
ピアノは優秀らしいよ」


と、
友達も信じられないと
いうような顔で話してくれた。


私はもう中学2年生。
音夜先輩も3年生、
最近耳にする音色は
1年生の時に聴いた音色とはなにかが違うような気がする。


前はもっと
素直な音色だった…。


「ふ〜ん…
そんなに気になるんだ。
“音夜先輩"の事。」


え゛!?


「わわわ!?
翼いたの!?」

昔、音夜先輩の事を
色々教えてくれた
私の大親友、翼が
気づいたら目の前にいた。


「失礼ねぇ…
音色が『音夜先輩〜』みたいな事
ゴチャゴチャ言ってたから見にきたのに!」


嘘!?
私、声に出てた!?
あ〜〜っ!
恥ずかしいっ!


「おっ?
噂をすれば音夜先輩が登校中ですぞ!」


廊下で
音夜先輩はいつもつるんでいる友達と
歩きながら話している。


「ほらっ!
ちょっと話しかけてきな!」


そう言うと、
翼はトンッと私の背中を押す。


「えぇ〜…
嫌だよぉ…」


と正面を向くと、
先輩がたが私の目の前にいて、
一人の先輩とぶつかってしまった。
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