【完】短編集~幼馴染み~
落ちついたあたしをそっと離した。
「…莉紗、もう、大丈夫か?」
「…うん。ありがとう、由貴…」
「とりあえず、お前…服、着ろ」
「っ!///」
そうだ、あたし…ブラウスのボタン取られてたんだ!
ボタンをとめようとしても、震える手でとめれない。
そんなあたしを見てか、由貴はなにも言わず、あたしのボタンを閉めた。
「あり、がと…」
「なんで、あんなことになった…?」
「………」
言えないよ。
由貴の彼女の、前川さんが関わってる。だなんて。
「…前川?」
「っ、」
反応したあたしを見て、由貴が顔を歪める。
「ごめん。俺の、せいだ」
「ぇ…」
どうして、由貴のせいなの…。
「俺が、お前に関わったから…」
違うよ?あたしが由貴に、関わったから…。
「…結局、俺はお前を…守れなかった」
ねぇ、由貴は…何を言ってるの?
守れなかったって、なに?
「いつだって、そうだ。俺は…お前を、傷付ける」
ねぇ、どうして苦しそうなの。
「ごめん。莉紗」
そう言って、由貴は教室を出ていってしまった。
「ゆ…き…?」
あたし瞳からは…
訳も分からず、涙が流れた。


由貴の言っていた意味が、
わからない。
ただ、ただ…
どうしてか、
悲しい。


──苦しい
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