【完】短編集~幼馴染み~
お昼休み、友達の裕香子<ユカコ>とお弁当を食べていた。
「古暮くんって、昔からあんな感じなの?」
「ううん。昔は普通の子だった」
「どうして不良になっちゃったんだろうね?」
「う~ん、あたしも分んないんだよね」
「でも、眞流と古暮くんが幼馴染みって、意外だな」
「そう?分んないな~」
「あっ!!」
あたしはいきなり席を立った。
「わ!な、なに!?」
「史くんにお弁当!渡さなきゃいけないんだった!おばさんに頼まれてたの忘れてた」
あたしはお弁当を持って、史くんの席へ。
「史くん!」
「…んだよ」
「これ、おばさんに頼まれてたんだけど、お弁当。今日史くん忘れたでしょ?」
お弁当をじっと見つめる史くん。
「おい、またあの2人話してるぜ」
「原田って、見かけによらず怖いのかな?」
「え~。あんな可愛い顔して実は裏では不良みたいな!?」
…男子たち好き放題言っちゃって…。
ま、気にしないけど。
てか、史くん受け取ってくれないんだけど…。
「史くん、お弁当」
「いらねぇ」
「えっ、いらないって…。おばさんが作ってくれたんだよ?食べなくちゃ…」
あたしはお弁当を史くんに押し付ける。
「いらねぇって!!」
史くんはお弁当を振り払った。
ガシャーンッと落ちたお弁当。
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