【完】短編集~幼馴染み~
**次の日**


う~ん、さすがに今日は電車乗ってないかぁ…。
「残念…」
「だ~れだ!?」
覆われた目。
こんなくだらないことするのは…
「陽智でしょ?」
「あったり~♪」
「朝から元気だね」
「そ?いつも通りじゃね?」
「あ~、あんたは年中無休のハイテンションだもんね」
「そうそう!って、おい~~!さすがに熱出たらテンションダウンだから」
「え、元気じゃなかった?学校休める~とか言ってなかった?」
「おま、そういう記憶力だけはいいのな」
「そう?」
「それよか、おめでと」
「ありがとっ」
「やっぱ、手とか繋いだ?」
あたしは首を横に振る。
「じゃぁ、キスは?」
またあたしは首を横に振る。
「…“好き”とは、言われた、よな?」
願いを込めて言ったように聞こえる陽智の質問。
「言われて…ない」
そうだ、あたし…“好き”とは、言われてないんだ…。
どうしよ、急に自信なくなってきた…。
「まぁ、隆也は照れ屋だからな。付き合ってんだから、好きって思ってんだろ!変なこと聞いて、ごめんな!」
「んーん」
あたしは俯きながら首を横に振った。
そうすると、陽智はポンと頭に手をおいた――……。
「相談、いつでも乗るから」
「平気だよ!だって、あたしは隆也のそばにいれるだけで…幸せだもん♪」
あたしは陽智に笑顔を向ける。
「よし、いつもの莉那に戻ったな。お、駅着くぞ。いくぞ」
「うんっ」

陽智、ありがとね。

そう、心で呟いた。
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