【完】短編集~幼馴染み~
「転校生を紹介する。入れ-」
転校生が入った瞬間、女子が騒ぎだす。
て言うか、“キャァァ”って叫んでる。
あたしも外を見ていたがゆっくりと視線を転校生へ向けた。
「えっ!!??」
な、なんで…!!??
ど、どうして…!!??
「ね♪男だったっしょ?てか、葵どしたの?」
「……健太」
「は?誰、それ」
「はい、静かにー、じゃぁ、自己紹介して」
「アメリカから来た、石原健太<イシハラケンタ>です。昔、このあたりに住んでいました。よろしく」
「え、葵。まさか……」
「…夏弥が思ってる通りだよ、きっと。あれが、あたしの――……「葵!!久しぶりだな♪」
「ん?お前伊藤と知り合いか?」
「あ、はい。幼馴染みなんす」
「おぉ、そうか。じゃぁ伊藤。面倒みてやれ」
「…はい。……幼馴染みだよ」
「運命じゃん♪」
「…ハハッ」
驚きすぎで、苦笑いしかできない。
健太が隣の席に座る。
「葵、元気してたか?」
「…うん」
「また、よろしくな」
「…うん」

――なんで、戻ってきたのよ。
どうして、あんなことしたくせに…普通でいられるのよ。

――キス、したくせに。
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