セックス·フレンド【完結】
ふらふらになりながらバックルームに戻ると、一時間前にバイトを終えたはずの西村がまだ残っていた。


「みぃたん、どうしたの?」


「西村君こそ、どうしたの?」


こめかみをマッサージしながら訊ねたあたしに、彼は、「別に」とそっぽをむいた。


「そう。お疲れ様」


ロッカーを開け、着替えを始めたあたしの後ろで、西村君が何かいいたげに突っ立ったている。



振り返ると、彼はまた、目を逸らした。



その子供じみた態度は、あたしの神経を余計に逆なでた。



「西村君、このあと暇?」



あたしが聞くと、彼は、「暇、かな?」と曖昧な返事をした。



「なら、ホテル行こうか?」


誰かに抱かれれば、少しは気が晴れると思った。


喜ぶと思いきや、西村君は、顔をしかめた。



「何?また、例の男となんかあったから俺で紛らわそうとしてんの?俺、みぃたんの性欲処理機じゃないんだよ。俺…」



唇を噛み締め、あたしを睨みつける西村君に、あたしは、「なら、いい」と背中を向け、バックルームから出て行った。



面倒な言い争いはごめんだった。
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