セックス·フレンド【完結】
それから、あたしたちはバイトをやめるまで何事もなかったかのように過ごした。



西村君とは仕事以外のことでは口をきかず、彼はあたしを「有村さん」と呼んだ。


そういえば、あたしは一度も西村君を名前で呼んであげなかったと、ぼんやり思う。


今になって、もっとこうすればよかった、ああすればよかったと後悔ばかりしている。


でも、あたしたちは恋人ではなかった。


恋人ごっこを楽しんでいただけだ。


だから、これでいい。


それなのに、今になって西村君と過ごした日々を愛おしく思うなんて、あたしは、やはり、ずるい。
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