セックス·フレンド【完結】
近頃、不安に思うことがある。


それは、隆也が、あたしに決定的な何かを言われることを避けているのではないかということ。


以前、男の一人暮らしの大変さをこぼした彼に、それとなく聞いてみたことがあった。


「食事や洗濯が大変なら言ってちょうだい。それくらい、いつでも手伝えるんだから」


こともなさげに聞いたが、ずいぶんと思い切った発言だった。


それに対して隆也は、


「美杉にそこまで迷惑かけられないよ」


と、さらりとかわした。


迷惑なんかじゃない。むしろ、迷惑に思っているのは隆也の方じゃないの?


そう言いそうになった。


「気にしなくていいのに。これでもあたしは女だもの。男の隆也より家事はできるつもりよ」


取り繕った笑顔の下で、どれほど泣きたい気持ちを抑えたことだろう。
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