セックス·フレンド【完結】
「電話返そうと思ってたんだけど、本当に忙しかったんだ」


場の空気が和んだのを見計らったように隆也が言い訳する。


「わかってる」


連絡がなかったことを問い詰めようという気持ちは、すでになかった。


「なら、よかった」


これ幸いと思ったのか、隆也はそれ以上聞かなかった。


あたしが話したかったことが何かを、知りたくはないのだろうか?


それから、隆也はぼんやりと窓の外を眺めた。


つられてあたしも外を見る。


薄い水色の空に、綿飴を千切ったような雲が流れていた。


それを、目を細めて見つめる彼の横顔を見ているうちに、あたしは、また弱気になってしまった。


彼を失ってまで、生きていく意味があるのだろうかとすら思えた。


隆也のそばにいたい。


彼と同じ時間を過ごし、泣き、笑い、時々は喧嘩をするのも悪くない。


喜びも快楽も、悲しみや怒りでさえ、何もかも共有したい。


誰かに渡すくらいなら、いっそ死んでくれたほうがいい。


一人の男のために、そこまで思い詰めることのできるあたしは、どこかおかしいのだろうか?
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