セックス·フレンド【完結】
倒れて入院した日、あたしは詩織から隆也の披露宴の日付と場所を聞き出していた。


(どうしてもというなら、教えてもいいわ。どうせ、こうなってしまった以上、私が教えなくても、美杉は突き止めるんでしょうからね。ただ、条件があるの…)



あの日、詩織の出した条件。それは…


(美杉がどうしても知りたいというなら、何かしでかすつもりなら、私は美杉の友達をやめる。理不尽なことを言ってるって、わかってる。でも、私は、これ以上美杉に傷ついて欲しくないの)


すがるように見つめた詩織の視線を振り切り、あたしは、迷うことなく、その条件をのんだ。


(残念だわ)


詩織はそう言い残し、寂しそうに病院を去っていった。


友達の信頼を引き換えにしてまで選んだ男。


恋に狂ったあたしは、こうして、大切な友達を、1人失った。
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