セックス·フレンド【完結】
「い、痛いなぁ、何すんの!」


触れられた部分を中心に、みるみる熱を帯びていく。


照れ隠しに、あたしは、思い切り隆也の肩を叩いた。


「おい!痛いのは俺だって」


彼は大げさに肩を押さえた。あたしは、そんな彼を突き放すように素っ気ない態度をとる。


恥ずかしかったのだ、とても。


そこからは、時間が戻ったみたいに、みるみる打ち解けていった。


もしかしたら、また昔のように…。


そんな淡い期待が脳裏を掠めた。


じゃれあっているうちに、ふとしたはずみでバランスを崩したあたしは、無防備に開いた隆也の胸の中に倒れこんだ。


微かに香るフレグランスの中に、懐かしい隆也本来の香りがした。


あたしは、彼に抱きすくめられていた。


「…隆也?」


「美杉…俺、男としての魅力に欠けてる?」


その状況で、なぜ彼がそんなことを聞いたのかわからなかった。


でも、そんなことはどうでもよかった。


その時すでに、あたしの中では、やっぱり隆也を好きだという赤信号が、激しい点滅を繰り返していたのたがら。
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