セックス·フレンド【完結】
隆也と別れた後、あたしはたくさん恋愛をし、それ以上にたくさんの男と寝た。


それなりに本気になった人もいるし、結婚を申し込まれたこともある。


振られて泣きすがった相手もいる。


だから、ずっと、純粋に隆也だけを思い続けてきたわけじゃない。


でも、いつも頭の片隅には隆也がいた。



隆也だったらこう言ってくれた。


隆也の抱き方は、もっと力強かった。


隆也は甘いものをあまり食べなかった…。


そんな風に、ふとしたきっかけで隆也を思い出しては、その時付き合っていた男(あるいは、成り行きで寝てしまった相手)と比較した。


あたしは、隆也を忘れようと努力し過ぎた。


その結果、彼はあたしの中にいっそう強く残ってしまった。


それでも…。


あたしはタバコに火をつけ、深く吸い込む。


それでも、再会さえしなければ、再び隆也を手に入れようとは思いもしなかっただろう。


もしも、あの時会わなければ、また、会ったとしても車に乗らなければ、抱かれなければ…。


あたしは、自分の気持ちを騙し続けることができたのに。


いくつもの【もしも】が重なって、あたしの秘めたる想いが目を覚ましてしまった。


あの情熱的な日々。


もう、戻れない。
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