セックス·フレンド【完結】
「美杉こそ彼氏作らないの?」


話題の矛先が急に自分に向けられて、あたしはひどく動揺した。



あたしが恋人を作らないのは、隆也を好きだからだ。


でも、今はそう言う時期ではない。


実は、今日デートしてみて、もう一度やり直したいと言ってみようかと考えた。待っていると、すがってみようかとも。


でも、さっきの恋人からの電話で、それはまだ早いとわかった。



「うん。今はいいかなって感じ」


「美杉、もてそうだけど」



「そんなことはないよ。ただ、ちょっと前に付き合ってた人が癖のある人で、疲れちゃったんだよね、恋愛に」



「癖って?」


「まぁ、暴力的だったというか…」


「まじ?殴られたりしたわけ?」


「まぁ、そんなとこ」


あたしは言葉を濁した。


確かにあたしは元カレに殴られた。でもそれは、あたしの浮気がばれたのが原因だった。


そうとも知らず、隆也は、「美杉を殴ったやつ、まじ許せねぇよ」と息を荒くしている。


いつかまた、


「俺がお前を守ってやる」


そう言ってくれる日がくるのだろうか?


この逞しい腕に、再び守られる日が…。
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