記憶の向こう側
敬太の様子は特に変わることなく、ソファに寝そべったまま足を組みながら私に答えた。
「ああ、杏子、知らない?俺と同じクラスの楢川麻優。まあ、クラス違うもんなぁ。」
「……。」
聞きたいのは、『麻優』の名字じゃなくて。
何も言わない私の様子から、質問の意図を悟った敬太は、ソファにきちんと座って真剣な表情で話し出した。
「最近、告白されてさ…、断ろうかと思ってたんだけど、何度も俺んとこ来たし、同じクラスで同じ部活じゃ気まずくなるのも…って思って、今、付き合ってる。」
…やっぱり、そっか。
「そう…」