記憶の向こう側
「しかし杏子のお父さんとお母さん、帰ってくるの遅いよな?」
「うん。」
夕飯を食べ終わって、ソファに座っていた敬太が私を自分の隣に誘った。
私は敬太の横に腰かけた。
いつもは一人でソファに座るから、隣の体温を感じて不思議な気持ちになった。
「もうすぐ夏休みも終わりだな。」
敬太は天井を見上げながらつぶやいた。
「そうだね。」
「杏子…。」
返事をすると、不意に敬太がじっと私を見つめてきた。