この窓を飛び越えて…
わたしはというと、二人だけで成立してしまっているその会話をボーッと聞いていた。
唯一働いていたのは神経。
“窓辺の彼”を見ないようにすることだけは、必死に頭の中で呼び掛けている。
「はい、じゃあ次は斎藤な」
肩を叩かれて、
「……えっ?」
と声を出せば、原田くんの困った顔が目に映る。
「え、じゃなくてな、今自己紹介中だぞ?お前の番だけど…」
原田くんはそこで言葉を切って、わたしの額に手をあてた。
「熱はないけど、本当に大丈夫か?」
どうやら、さっきの麗奈ちゃんの言葉を気にしているらしい。
わたしは慌てて両手を振った。
「へっ、平気です!!自己紹介、わたしの番なのですね?はい、今すぐします!」
シャキッと背筋を伸ばしたわたしに、原田くんと女の子…それから“窓辺の彼”の視線がささる。
だけれどこんなとこでは負けません!
「斎藤莉桜といいます、えっと…宜しくお願いしますっ…」
わたしが一仕事終えたように肩の力を抜く。
すると、必死さが伝わったらしく、女の子が笑い出した。