ふっとストーリー
雲はなんだかとってもリアルで真っ白。

歩く。
麻子は電車で学校へ行く。いつも通りの日常。
行くときに返事があれば、だけど。
麻子のお母さん、倒れてる。布団、もうたたんでくれないかもしれない。病院に行ったらと言ったけどそんな気力ないって。お父さんは逃げちゃったから。10年も前に顔はうっすら覚えてる。エロそうなハゲじじいだった。確か。お母さんが倒れて麻子は困った。焦った。どうしたらいいのかと迷った。


振り絞ってよ、気力。
よくなるはずだよ。
麻子が連れていこうか。

全部言いたくて。
でも麻子の口からは言えなかった。
麻子のあほ。
麻子、やさぐれてたから。
今更ー………

麻子チャンハ勇気ヲ振リ絞リオ母サンを助ケタノデス。

このとおり、できたら………麻子なら……





結局何も出来なかった。
今お母さんはお墓にいる。
死ンジャッタァ………
あははははははははは

はははははははは、は……………












………病院……
「お母さーん」
少年が、よんだ。
「なぁに、麻央」
「お姉ちゃん、泣いてるよ」
「…え?」
顔を見る。
ガリガリの顔に涙。
「………あ……」
「起きるかなぁ。起きたら初めて話せるんだ!」
「腹違いだろうと、麻央のお姉ちゃんだもの。楽しみよね」
「うん!!」

「だから、目を覚ましてよね麻子ー……」





山城麻子。
当時17歳。何らかのショックで植物状態。

「麻子……。私、病院頑張って行ったのよ。元気になったのよ。新しい夫と再婚もして、幸せなのよ。子供だって出来たのよ。
夫も弟も私も麻子を待っているわ。麻子、起きて。目を、あけてよ………!」

「お姉ちゃん…!」

ぴくり、と麻子の瞼が動いた。

終わり



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