砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




手渡されたのは紙バッグ
かなり、ズシリと来る


――― この重みって…靴か…?

「 え… ?! 」




覗き込んだ 袋のすき間


硝子加工の靴の横
たたまれた、黒地の服には 白いレース


「 キミ達がここに到着する前
ミチルが持って来てくれたんだ 」


「 ――…… この服 は? 」


「 あの娘が直していたのは試作品

すり替えた本物は、俺が直してある 」




俺は慌てて、財布を探って ―――


何枚か挟んであった名刺とか
ポイントカードとかを
焦ってバラバラ落としてしまって
ハルトが一緒に拾ってくれた




しかしすぐに紙バッグごと
勢いよく外に、追い出されてしまう


「 ホラ
早く行かないと蹴り落とすよ――――

俺も出るから、鍵閉めちゃうし 」


「 ………あ 」




まだ何か言おうとしていたら
無表情なハルトの足が廻されて
マジで蹴り落とされそうになった


俺は跳ぶ様に後ろにのけ反り
少し冷や汗




それでも笑いながら
思い切りオジギをして
慌ててマンションの階段を 駆け降りた




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