すべり台
「………。ろ、ロリコン!!変態!痴漢!何が楽しい!カッコつけ!犯罪者!成り上がり!成金!金パツ!金のパンツ!目〇おやじ!」

慌てて思い付く言葉を叫んだ。こいつ、自分家に招待しようとした!!絶対!!根拠はないけど!!!!!

「た、確かに間違ってはないが…」

否定しないのか。

「俺、お前みたいなガキ相手しないから。お前の家の前に落としてやろうかと思っただけ」

前半はめちゃくちゃうざかったけど後半、少しうれしかった。
赤の他人といえども心配されてるんだし、ここは寒いし。

どうせ家出なんかしてもお父さんは気にしない。気づいてない。

「……乗せるだけ?」
「ガキ相手にするかよ」
「……じゃあ、降りる」

滑り台を降りる。
ずさーっという音がした。

お尻の砂を叩いて立ち上がる。
「じゃあ、行こ」
……。
……………?
相手は沈黙だ。

「ちょ……?」
振り向く。
いない。

「ちょっ、え…?」
さっきまで、いたのに。

「……わりぃ。」
車からさっきと同じ声が聞こえた。
「…車にいたの?早いねー」
さっきの車、こいつのだったんだ……。
横を開け、入る。
中はタバコ臭かった。
「臭っ」
「…………わり…」
さっきからそればっかり。
「もう何なの、調子狂う」
そういいつつ運転席を見た。やっと見れる。
……彼は、黒髪だった。

……チャラいと思っていたけどカッコイイタイプで、チャラいタイプではなかった。
「……」
何も言えずだまって下をむく。

口喧嘩していたはずなのに沈黙が痛い。

何で、コイツ話さないの?

時間だけが過ぎていく。
自分の手を握ると汗ばんでいた。
さっきまで寒い寒いって喚いてたのに。
くすくす
笑ってしまう。

「……何笑ってんだよ」
遠慮がちにだけど、話し掛けてきた。
「別にっ。それよりさ、あんた名前何なの?」
会話ができた!
少し感動しつつ、話す。

「…アイバ。」
「下?上??」
「名字」

「ふーん。私、亜最。しかくが檻に捕まってる、みたいな亜にもっともの最。」
「あも?あほっぽ」
「失礼な!!かわいいって言われた事あるんだけど。この名前」
「あほっぽくてか?」
「違うし!」
「そーか?」
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