臆病な初恋。
「おおー!久しぶりじゃないか!
大きくなったな!」
「ええ…まあ」
「色男になりやがって!
ああ、そうだ。瞳ちゃんが来てるぞ。
瞳ちゃんの席行け」
話の内容でおじさんが誰と話しているのか分かった。
私の座っている席は、一番奥の窓際の席だから入口の方は見えないが、おじさんが話している相手は………
「―――あ…」
無言で私を見下ろす男の人。
私を見るその目は、やっぱり冷たい。
昔幼なじみだったなんて、嘘のように。
「座るぞ」
「あ、うん…どうぞ」
私の向かいの席にゆっくり腰を下ろした。
呼鈴の小さなベルを鳴らすと、おじさんがやって来た。
亜清は静かな声で「アメリカンコーヒー」と注文した。
おじさんは注文を受けながら、「本当にいい男になったなー」と亜清を見ていたが、亜清は無表情のまま「ありがとう」とだけ言った。