臆病な初恋。
本当は亜清の顔が見たいのに、俯いてしまって中々見れない。
さっきの家の前で会った事もあるし…。
亜清は窓の外を見ていた。
しばらくして、コートのポケットの中を探り煙草を取り出した。
テーブルの隅に置かれたマッチで煙草に火をつけて吸いだした。
まだ未成年なのに。
いつの間にか俯いていた顔が、真っ正面に居る亜清の方へ向いていた。
おじさんの言っていた通り、本当に格好よくなったな。
煙草を吸う姿がサマになっている。
見惚れていて気がつかなかったが、おばさんが亜清の注文したコーヒーをトレイに乗せて立っていた。
「亜清君、お久しぶりね。
随分大人びたけど、あなた、いくつだっけ?」
「19」
亜清は小さい頃、体が弱くて入院ばかりしていたから、学年は一年遅れている。
だから私と同じ学年だけど、年は一つ上だ。
「一年くらい待ちなさいよ。未成年」
「嫌だ」
「…仕方ないわね。
ま、ゆっくりしてってね」
無言で頷くと、煙草を揉み消して、まだ熱々のコーヒーを啜った。