抹茶な風に誘われて。
「か、亀元さん……っ!」

「なんですってえー!?」

 あわてて止める私の言葉は、眉をつりあげた優月ちゃんの叫びでかき消される。

 たちまちまた言い争いを始める二人をはたからおろおろ見ていると、あきれたように香織さんが呟く。

「ほっときなって、かをるちゃん。あれもコミュニケーションの一種なんだからさ」

「そうそう、犬猿の仲も蓋を開けりゃ本音の裏返しってこと。相手にしてたら疲れるだけよお?」

 ハナコさんにまで笑われて、私は首を傾げながらも口をつぐんだ。

 みんなが置きっぱなしにしているお椀やお菓子の包み紙を片付けようとした私に声をかけたのは、咲ちゃんだった。

「かをるちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 振り向くと、ケンカしていた優月ちゃんも聞きつけたのか駆け寄ってきた。

「そうだ、こんな奴とやりあってる場合じゃないんだって! かをるちゃん、進学しないって本当なの?」

 はっきりと投げかけられた疑問の声は部屋の中に響き渡り、あっという間に私は注目の的になってしまった。

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