箱庭ラビリンス
キョロリと辺りを見渡し、また質問をする。
「ナナギくんは、一人で来たの?」
「今は別行動してるけどお兄ちゃんと」
「そうなんだ。ピアノ、すごく上手だね」
純粋に褒めただけなのに、急に表情を曇らせる。やっぱり分からなくて、ジッと顔だけを見ていた。
そして、弱々しく落ちる言葉。
「上手じゃないよ。ピアノは嫌い。嫌いだから、そんなふうに思ってくれてもいい音にはならないんだ」
「??」
「あ、……っと、ごめん。こんな事未来ちゃんに言っても仕方ないよね」
頭にクエスチョンマークを浮かべる私を見つけたナナギくんはそう言う。ナナギくんの言葉は難しい。多分、芸術的な面の話をしている事は分かる。
芸術なんて分からない私が出来る事なんてたかが知れてる。だが口にせずにはいられなかった。
「ナナギくんが嫌いでも、私は好きだよ。此処に来て全然楽しくなかったけど今は楽しいの。すごく元気になったの」