箱庭ラビリンス


四肢も脳も目も呼吸も心臓でさえも、凍りつくんじゃないかと言うくらい冷たくなっていく。視線がそれから外せない。


駄目だ。今すぐ。今すぐこの場から離れないと。気づかれない内に。


必死であがらい、体温を取り戻せば来るのは震えと歪む視界。


何でこんな所にいる?何故顔をまだ覚えてる?何故……


「……未来?」


何故声を掛けるの……?


来るな来るなと願っても私よりも頭二つ分以上大きい…大きく感じる男が前に立つ。


人の良さそうな顔に騙されてはいけない。私も騙された。騙されて抉れた傷を作ることになった。


ギュウッと手を握り込む。爪が食い込もうが関係なかった。


どこもかしこも痛い。痛いよ。


< 71 / 194 >

この作品をシェア

pagetop