箱庭ラビリンス
私は抜け出せた筈だ。だから、今だって自由に逃げ出せる。
「久しぶりだな未来。元気だったか?また、話でも……」
「……っ!」
伸ばされた手を弾き、睨み付ける。
「……ぼ、くは、お前とは……か、かんけい、ない……っ!」
けれど、結局怯えていたのだ。ずっとずっと恐怖の根源として残っていた。
奴は変わらない笑みで笑う。何も変わってない。私と同じだ。
「相変わらず。未来は『悪い子だ』」
あの日と今が交錯する。
「ふっ……くっ……!」
泣いてばかりの私は走って逃げ続けた。奴が来れない場所へと。奴が追ってきていないと分かっても。