百物語

┣11本目 風呂

怖いですねー。

目って怖いですもんね。

心霊スポットの話の流れから逸れてしまうんですが、私は身近にありそうな話しますね。

私はお風呂が大好きで…長風呂なんてしょっちゅうしてて、よくお母さんに怒られるくらい好きなんですよ。

まぁ、この日もいつもの様に長々と1時間以上入ってたわけです。

あまりにも長い私の入浴のせいで、我が家では私が1番、後に入る決まりが出来ました。

0時を過ぎた頃に入ったので、時刻は1時を過ぎてました。

そろそろ、上がろうかなって思って私は立ち上がろうとしました。

私は半身浴的感覚で、お風呂には蓋をして入ってたんで、それをどけようとしたら……

――ヌルッ

「?」

何かが私の手に絡まったんです。

髪の毛かな?と思って、特に気にせずに蓋を開けました。

そしたら……そこに、女の人の顔があったんです。

鼻から下は湯船に浸かってる感じで、大きく目を見開いて私を見つめていました。

私は慌てて、お風呂から上がりました。

体にタオルを巻き付けて、部屋までかけ上がって逃げました。

叫ばなかったのはあまりにも驚いて怖かったから。

腕には彼女のものかと思われる長い髪の毛が絡み付いてました。

それ以来、私は夜中の長風呂を辞めましたが、ある時に夢に出てきたんです、彼女。

そして、私に「私もお風呂好きなの」と可愛い顔で言うんです。

それを、聞いて私はまた夜中の長風呂を再開しました。

今では仲良く談笑しながら、お風呂に浸かってるんですよ。

…これじゃ、怖くありませんでしたか?

すみません。

でも、初めは怖かったからおあいこってことで。

――フッ シュポ
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