百物語

┣20本目 悪夢

正体不明で終わる感じ……


1番怖いかもな。


そんな、私の話も正体不明だがな。


数年前、私は毎晩同じ夢を見るようになったんだ。


そこは決まって見たことがない廃墟。


そこで、影に追いかけられるというものだった。


……中二病ってか?


そう思ったやつ後でシバいてやるから覚悟しとけよ。


まぁ、シバく話はどーでもいいな。


その夢で私は必死になって逃げるんだが…。


夢の終わりは必ずその影に捕まって闇に飲まれて終わりってものだった。


そして、目が覚めた時には汗びっしょりでとても寝た気にならない目覚めだった。


その夢は半年以上見たんだが、寝た気にもならねぇどころか余計疲れて休めない状態でとても勉強なんかできる状態じゃなかった。

その時、私は学生だったんだが、学校を休みがちになった。


寝るのが恐ろしくてたまらなくて……


不眠症にもなったくらいだった。


それはそうだろう?


シチュエーションは変わるがステージは同じで、しかも必ず捕まって闇に飲まれるんだから。


誰だってまいっちまうだろ?


そのまま更に1ヶ月が過ぎて……私はもう死んでもいいかなと思い始め、死に場所を探しに外に出るようになった。


そのくらい私の心は限界を迎えはじめていたんだ。


そんなある日、フラフラと死人のようにさ迷ってた私の横を18歳くらいの黒髪の青年が通り過ぎた。


そのすれ違い様に「……夢魔か」とポソリと呟いたのが分かった。

「夢魔……?」


私の思考能力は極限まで可笑しくなってた。


だから、そんな言葉にも意図も簡単に食い付くことも、そんな気味の悪いことを言う青年に何の不信感もなく話し掛けられたんだ。


私が聞き返すとそいつはこっちを向いたんだ。

黒髪に紅い目、ファーのついた黒いコートを羽織ってた奴は微笑していた。

カラコンってやつだと思うが…見た目はそれこそ中二病って感じの変わってる奴だった。

「そっ。夢魔は人間の心の奥に取り憑いて夢から弱らせて最終的に魂を喰らう魔物だ。随分深く張り付いてる。だいぶ気に入られてるんだなー」

そんなオカルト紛いの事を平然と言ってきた。

「どうしたらいい…?どうすれば、この夢から逃れることができる……?」

私がそう問うと彼はクスクスと笑いながら打開策を言った。


以下が彼が言った方法だ。
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