太陽と雪
バカみたいじゃない、もう。

先程から、矢吹の顔をチラチラと伺ってしまっている。

矢吹のことを男として意識しているのは私だけなの!?

ずるい。

ふとヤケになって、目の前にあった飲み物を一気飲みした。


「彩さま!
……そちらは!」

相沢さんが止めるのも聞かずに飲んだのが、間違いだった。


「苦い……!」

「彩お嬢様。
そちら……キャラメルラテでございますよ?」


キャラメルラテって飲んだことなかったから分からないけど…こんなに苦いものなの?

ただ、キャラメルラテがどんなものか知らなかったから、興味本位で頼んだだけなのに。

絶句する私に、一呼吸置いて矢吹が続ける。


「お嬢様……よろしいのですよ?

いくら今いらっしゃる場所が、高級なテーマパークだからといって……。

大人ぶってキャラメルラテなどをオーダーなさらなくても。

いつもの通り……紅茶をたしなんでおられるお嬢様が、一番可愛らしいですよ」


ほどなくして、相沢さんが気を利かせてアイスティーを持ってきてくれた。


「ありがとうございます、相沢さん」


「いいえ。
お気になさらず」


私は…気づかなかった。
矢吹が……冷ややかな目で相沢さんを見ていたことに。

「矢吹。
何かあったのかしら?
顔が怖いけれど」


「いいえ。
何でもございませんよ。
気のせいでございます、お嬢様」


それならいいけど。


一瞬……矢吹の顔が不機嫌に見えたのは気のせいだったのね。


「矢吹さんの反応見てるほうが楽しいな。

高校の友達の恋愛模様見てるときみたいだ。

懐かしいな、この感じ。

高校の時の奴らに教えてやろ。
格好のネタだな、酒の肴になりそう。

ってか、姉さん。

ホント、何にも知らないのな。

純粋すぎるっていうか……罪な女。

いや、ちょっと違う。
男泣かせな女だな」


「なっ……何よ?」

私の隣にいる麗眞が意味深なことをぶつぶつと呟く。

純粋すぎることは……いいことでしょ?


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