十三日間
そして、昼休みまで話しかけるチャンスは来なかった…。
というか、だって、緊張しちゃうんだよ。
これで席が近かったら、何かと口実をつけて話が出来るんだけどな。
現に、隣の席の女の子とはしょっちゅう話をしてるし。
軽口だってたたけるし。

興味がないと話ができるタイプか、僕?

昼飯を食い終わってからぶつぶつ悩んでいたら、大木みくるの方から話しかけてきた。

「何か今日も様子が変だけど、また変な夢でも見たの?」

だって、だって!
え~、僕のことを気にしてくれてるのかな??
これは脈あり??

「うん。二日連続。別に悩み事なんかないんだけどね」

いやいや、あるとも!
君と話がしたいという悩みがぁああ!

……一人ノリツッコミするけど、ホント僕ってばかじゃん…

「そうなんだぁ。よく眠れるように、ラベンダーの香りのアロマとか使ってみたら?」
「アロマ?」
「うん。あたしそういうの結構好きなんだ。貸してあげようか?」
「え、いいの?」

えっ!
い、いいの? いいのぉ?

今日は小躍りじゃなくて、タップダンスでも踊りたい気分。

「うん。明日持ってきてあげるよ」
「ありがとう」

す、すごいぞ僕!
今日は大進歩!

…って、僕は何もしてない気がする…
彼女の方から話しかけてきてくれたんだもんな。

でも、これはチャンス!
明日、アロマとやらを借りる時に、なんかお礼を用意しておけばいいのだ。

いや、それともその場でなんかおごるとか?
帰りになんか食べに行こう、とか??

ど、どうしよ~っ!

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