十三日間
「夢、だった…」

僕が呟くと、みんながびくっとした。

「伶ちゃん…落ち着いた?」
おそるおそる、母さんが聞く。

「夢だったんだぁっっ! よ、良かったよぉ! 恐かったぁあ!」

僕は、子供のようにそう叫ぶと、父さんに、母さんに、兄さんに、抱きついた。

「恐かった、恐かったああっ!」

本当に、子供みたいだ。

でも、みんな優しく僕を抱き締め返してくれた。

僕は、いつまでも子供のように泣きじゃくりながら、
「よかったぁ、夢でよかったよぉ……」
と、呟いていた。

平和な毎日。
幸せな日常。

今日から、ちゃんと僕の手に戻ってくる。


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