十三日間
日に三回、無表情の看守が、無言のまま食事を運んでくる。
鉄格子の下に、食事が載ったトレイを出し入れする隙間があり、そこのカギを開けて食事を差し入れる。

最初にこの扉を見た時、こんなに隙間がある鉄格子だけでは、歩き回る看守の身が危険ではないのかと考えた。
自棄になったバカ者どもが、中から物を投げつけたり、簡単に出来そうだったから。

しかし、ここではそんな心配はないらしい。

鉄格子には電流が流れている。
触るだけで気絶する程度の。

そして、普段電流は流れていないが、各部屋の床にも、電流が流れる仕組みになっているのだそうだ。
反抗しようとした者は、反抗心がなくなるまで、電流の痛みに耐えなければならなくなるらしい。

隣のじぃさんに聞いた話だから、どこまで本当かは判らないが。
実際、扉の鉄格子に電流が流れているのは本当だから、多分本当なんだろう。

試してみる気にはなれないしな。

自嘲して、朝飯を食べることにした。
お世辞にもうまいと言えるしろものじゃない。
だが、黙っていても食う物が出てくるのだから、贅沢を言っては罰があたるというものだ。

幼い頃、パンのひとかけらで殺し合いをするような生活をしてきた俺には、成長しても食い物を粗末にすることだけは出来なかった。


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