囚われジョーカー【完】

「いえ、…ただ、違和感があります。」



そう言い視線を逸らした私の耳には、違和感か、と呟く声と笑い声が届いてきた。


チラリ、視線を三浦さんへと戻せば。彼は吸い始めたばかりの長い煙草を指に挟むと、道に落とし靴裏で踏みつぶした。




「どうしたんですか？」

「…菫が、嫌なら吸わない。」

「嫌というわけでは…」

「違和感感じるんだろ？じゃあ、これはもう吸わない。」




言い方が理屈っぽいな、と思ったが声にはしなかった。


三浦さんはまだ何本か残ってるであろう煙草の箱ごと、近くにあったゴミ箱へと投げ捨てた。



「勿体無い。」

「いいんだよ、金あるし。」

「嫌味ですか。」

「事実を言ったまで。まあ、親父の金遣うとかは論外だけどな。」




三浦さんは薄く笑うと。するり、私の指に自分の指を絡めてきゅっと緩く力を込めて繋ぐ。