囚われジョーカー【完】
その気持ちには今は蓋をして、くるりと踵を返す。
カズヤさんも帰ったし、私も帰るか。叔父さんに声を掛けスタッフルームへと戻る。
当然だが明日香さんの姿はもうそこにはなく、おそらく清水くんのお見舞いに行ったんだろう。
後でメール送っとこう、そう思いながら制服を着替えていると。バッグの中から陽気なメロディーが鳴り響いた。
まだ時代の流れに乗れておらず、画面にタッチではなく親指で打ち込む二つ折りのそれ。
開き、着信相手を確認して。私の顔は条件反射というやつか、火を噴いたように赤くなってしまった。
―――着信:三浦さん
しかも電話というところに胸が高鳴る。若干震える指で通話ボタンを押し込み耳に押し当てた。
「もしもし?」
“ばっ、ちげーよ!目玉焼きにはマヨネーズだろうが!”
いや、醤油だろ。