囚われジョーカー【完】
「(…アサノ、さんがいる…?)」
そう、あの声はカズヤさんの恋人らしい綺麗な大人な女性のものだ。
どくり、胸が歪な高鳴りを見せた。カズヤさんが付き合ってると言っていたし、三浦さんとなんてことはないだろう。
でも何だ、この不安は。
携帯を持つ手が小さくだが震えてきて、それを抑えるようにもう片方の手で包み込む。
は、と口から漏れた息には余裕はなく。事実息苦しさが私を襲っていた。
“菫、バイト終わった?”
「…はい。」
“そうか。じゃあ、今から俺の部屋来てくれ。”
「三浦さんの?」
“ああ。”
理由を尋ねようとすれば、三浦さんは「じゃあ後で」と言うだけ言って一方的に通話を終了されてしまった。
理不尽というか、身勝手というか。
取り敢えず、確信に近いことは。
例えアサノさんがいるとしても不安要素はなかったということ。