囚われジョーカー【完】
そして、真っ直ぐに。
清水くんの顔を見据えた私の視線は、初めから私を見ていたその視線と絡まった。
「…清水くん、話、あるの。」
「……うん。」
「バイト終わったら、ちょっといい?」
「…………分かった。」
すごく大きな間をあけてから、そう呟き先に裏口の方へと歩いて行ってしまった清水くん。
…頷いた瞬間の彼からは、何時もの明るさなんて感じることが出来ない。
横を通り過ぎるとき見えた、悲しそうな微笑が脳にこびり付いて離れない。
傷付けた。
分かってる。
―――分かってた。
傷付けてしまうこてなんて、ずっと前から分かってた。
私は、狡い人間だから。
どんなに綺麗事言っても三浦さんを忘れることなんて出来るはずが無かった。
それを分かってて、清水くんのピアスを受け取った。
清水くんの気持ちを、本当はあの時受け取ってはいけなかった。