囚われジョーカー【完】
言い訳がましいかもしれないけど、ロッカーを挟んで感じる清水くんの気配に向かって言の葉を紡ぐ。
―――本当に、清水くんがいてくれて良かった。
好きだと言ってくれた時は嬉しかったし、大学のお昼休み。偶然だと言っていたけど、清水くんが会いに来てくれていたことには気付いていた。
気にかけてくれて、ありがとう。
でも――――…ごめんなさい。
「あーっ、マジで悔しい…。」
「…。」
「勝てるわけねえよ、チクショー…」
「…。」
「篠宮を元気にできんのも、笑顔にできんのも、あんな、幸せそうな顔にできんのも、俺じゃなくて三浦さんなんだからさ…。」
清水くんの声は酷く弱々しく小さかった。
彼を傷付けるなんて、嫌なのに。でも、私が三浦さんを選び続ける限り清水くんを傷付ける結果になってしまう。
それでも、私は、三浦さんしか選べないんだから残酷な女だ。