囚われジョーカー【完】
その私の言葉に、即、清水くんの苦笑混じりの声が投げかけられた。
「ああ、別にいーよ。まあ、瀬尾ちゃんがお見舞いとは思えないお見舞いに来たけどね。」
「(…明日香さん…。)」
確か、からかいに行くと言っていた。本当にからかいに行ったんだ、病人相手に。
「お見舞いとは思えないお見舞い」というものがどんなものか気になったけど、何となく怖かったから聞かないでおこう。
と。
私の着替えも終わり、下ろしていた髪を後ろで一つに捻り上げ。薔薇型のカメリアでとめ準備が完了した時。
また出来てしまっていた沈黙を、清水くんは私の名を呼ぶことで断ち切った。
「篠宮ー…」
「何?」
「……諦めたく、ねえ…。」
「……。」
「でも、…篠宮の1番は、三浦さんなんだろ?」
「…ごめん、清水くん。」
でも、私なんかを好きになってくれてありがとう。
これは、嘘なんかじゃない。