囚われジョーカー【完】
瀬尾さんは、その後も何かと俺をからかってきた。ちょっかいや悪戯は日常茶飯事で、中々腹が立つ毎日。
そんな中、俺と瀬尾さんの関係を良好的にしていく事件が起こった。
「清水ちゃーん!」
先に俺と瀬尾さんが休憩に入った時。
声からして意地の悪さが含まれたような、愉しげな声が俺を呼ぶ。
なんすかー?なんて気怠げに返事を返せば、瀬尾さんが何やら中指と人差し指に紙切れを挟んで揺らしていた。
何だ、と首を傾げて見せれば瀬尾さんもこてんと首を傾げて。
「甘いものとか、好き?」
「甘いもんすか。まあ、好きっすね。」
と、言うのはただの強がりである。本当は大がつくほど好きな甘党なのだ。
瀬尾さんは、そんな俺の強がりを見抜いたらしくにんまりと口角を引き上げた。
「駅前の゙高いけど美味しくて有名な゙ケーキ屋の割引券あるんだけど。」
「神…!」
「三枚あるから、菫ちゃんも誘って行かない?」
「行きます。」
嗚呼、今だけ瀬尾さんが神々しく見える。