囚われジョーカー【完】
ついついにやけてしまう頬に瀬尾さんが手を伸ばしてくるのが見え、何だと身構えると。
人差し指でぷにぷにと頬をつつかれた。
突然の行動に頭には?乱舞。え、いきなり何してんのこの人。肩叩いて振り返ってぷにってやつやりたいのか?
なんて考えていれば、無邪気に。まるで小学生みたいに笑った瀬尾さん。
「清水ちゃんって、可愛いよねー。」
「かわ、…いくなんてないっすよ。俺男だし。」
「(顔じゃなくて性格の話だけどね。)」
「(可愛いとか言われても、嬉しくねえよ実際。)」
微妙な空気が俺達の間を流れる。やばい、気まずいなんてものじゃない。
苦虫を潰したような顔をする俺に、瀬尾さんは余裕を振りまくようににかりと歯を見せて笑い。
「じゃあ、菫ちゃんによろしくー。」
それだけ言うと、くるりと踵を返してホールへと戻っていった。