囚われジョーカー【完】




時折見せる甘いフェイスに、私は惑わされる。

意地悪な笑顔だって三浦さんの特徴だと思うけどこの甘すぎる笑顔も私は好きなんだ。



「菫、こっち来て。」


手招きをする三浦さんに何だろうと近寄れば、煙草は形の良い唇の間に挟み、コートを持っていない空いた手で私の手首を掴み引き寄せる。


ふわり、煙草の香りに混ざって香るシトラスに釣られるように三浦さんの胸元に顔を埋めた。



「…菫?」

「…、」

「やけに可愛いことするんだな。」


ク、ク、と喉の奥を転がすような音が頭上から聞こえ。その愉しげな響きに身体の奥が疼く。

そうだ、今日の私はなんでこんなことしているんだ。


ぎゅっと前から抱き締められ、さらにその香りは濃くなる。





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