囚われジョーカー【完】
【ジョーカーの正体】
それは、大手企業《三浦グループ》の社長息子で。
つまり次期社長となる人間である。
年齢は24歳と若く容姿端麗、頭脳明晰という言葉がぴったりなのだけど――…。
私といることを選んだのは、彼の人生の選択ミス。
紫煙の香りが染み込んでしまっているソファーに膝を抱えて座る私。
三浦さんはというと、小さく舌打ちしながら煙草を灰皿へと擦り付け。
「着替えてくる。」
そう呟き、ゆっくりとした足取りで寝室へと消えてしまう。その後ろ姿を尻目に、ジーンズのポケットから二つ折りのそれを取り出す。
開いてディスプレイを確認すれば、メール1件受信の表示。