。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-変身-

昨日は、初デートだった。

…奏の隠れたカッコイイところを見つけ、奏

は、変身するの。




「奏、おはよ」

「おはよ」

朝、いつも迎えに来てくれる、奏。

「やっぱ、その方がカッコイイよ!!」

「…なんか恥ずかしいんだけど」

「大丈夫だよ!ほら、行こっ」

「あ~、うん」

手を繋ぎ、あたしたちは歩く。

度々、いろんな人が振り向くのは、奏がカッ

コイイからだと思う。

特に、あたしたちと同じ学校の人は、奏が誰

だかわからないみたい。

「なんだか、面白いね」

「…やっぱ、俺無理かも」

「大丈夫だから!!あたしたち、教室も同じな

んだし、安心してて!」

「奏歌が言うなら…」

「奏歌!!」

「あっ、梨那。おはよ~」

「おはよっ」

「夏喜クンも、おはよ」

「はよ~。てか、隣の男誰?奏歌ちゃん、浮

気?」

ははっ。

浮気だって。

「奏だよ!」

「…おはよ」

照れてるのか、こっちを向かない。

「奏。カッコイイから心配しないで。こっち

向いて」

「はっ?秋山?」

どうしても向かない奏に、奥の手。

「奏は…あたしのことが嫌いなの?」

「そんなわけっ…」

「向いたっ♪」

後ろにまわって、奏に後ろから抱きつく。

もう、前は向けない♪

「奏クンの大変身だよ♪梨那」

「ほんと!!秋山クン、カッコ良くなったね!!

びっくりしたよ!」

「マジ、変わったな。秋山。てか、梨那誘惑

すんなよな!!」

「しないし。俺は、奏歌一筋だから」

抱きついてて言うのもなんだけど…

…恥ずかしい!!

あたしは、奏の背中に顔を隠した。

きっと、今顔が真っ赤だから。

「あっ!奏歌が照れて隠れた!!」

「照れてないよ!!」

「秋山クンに愛されてるね~」

「…バ~カ」

「梨那、もう秋山見ちゃダメ」

ギュッと夏喜クンに抱き締められた梨那。

…顔、真っ赤。

「…夏喜」

「梨那は俺の。わかってる?」

「…うん」

「梨那、顔真っ赤~♪可愛いっ」

「奏歌うっさいよっ」

「照れんなって~」

「奏歌?」

「なに?奏」

「俺ら、もうそろそろ学校行こう。注目度…

すごいと思うよ?」

「あっ!!」

バッと奏から離れたあたし。

今考えてみれば、梨那は抱き締められてて、

あたしは奏に抱きついていて、朝から暑苦し

いバカップルだ…

「奏、梨那、夏喜クン、学校行こっ!!恥ずか

しい!!」

「あっ、そうだなっ」

みんな、焦りつつ、歩き出す。

でも、忙しくても、手を繋ぐのを忘れてない

のが不思議だ。




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