。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「奏、起きて?」

奏の寝顔は、2回目。

前の時は…しっかり見てなかったし、あたし

も眠かったから…気づかなかった。

「あっ、奏歌…あっ、メガネ!」

「はい」

「俺、本当に目、悪くって」

「ねぇ、コンタクトにしてみれば?奏、もっ

とカッコ良くなるよ」

「奏歌が言うなら…考えとく」

「あと、髪もあげた方がいいよ?奏、せっか

くカッコイイんだから、カッコ良さ見せない

とね!!」

「じゃあ…やってみるよ」

そのあとは、奏とカフェに行って。

他愛もない話をして、楽しんだ。

で、日も暮れてきた頃。

あたしと奏は、駅に近い紅葉の木が立ち並ん

でいるところを、ふたり手を繋いで歩く。

いつも手を繋いで帰ってたけど、やっぱり、

デートは特別だ。

「…奏」

「ん?」

「今日、楽しかったよ」

「俺も…」

奏があたしを見つめてくるから。

あたしは、そっと目を閉じて。

紅葉の木の裏で、奏と初めてキスをした。

「…また来ような」

「うん」

…すごくいい一日だった。

…大好きだよ、奏。






そして、明日。

奏は、あたしの言った通りの姿で学校に投稿

した。

それは、成功だった…と思うよ。
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